第1章 地獄の悪魔

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俺は今地獄に居る。理由は・・・・・・分からない。 何で地獄だって分かるかって?そりゃあ、さっきから頭に角が生えた奴や、黒い羽根が生えている奴がウロウロしているからだ。仮装ではない。 さらに地獄に堕ちたショックなのか、死んだ時の事が思い出せない。 他殺なのか自殺なのかすらも。 もちろん、パニックを起こした。 ・・・・・・が、俺はを思い出して、恐怖や焦りを胸の奥にある壺に入れてから固く蓋を閉めた。 今はとりあえず寝たい。多分、かなり疲れていて身体が重たい、まるで重りが乗っているようだ。 だから街を探して歩いていたら見つけた。 その町の名前は『地獄の街(ヘル・タウン)』。 街の入口には門番が立っている。 門を通る者は魔界へと足を踏み入れることを許された人間だけ、という看板も配置されている。 そして俺はその許可を得ていない。 そんな訳で、俺は今門の入り口にいるわけだが、これまた、門番が恐ろしい顔をしている。 漫画やアニメなどに出てくる地獄の門番と同じで恐ろしい容姿をしている。身が震えそうだ。 「おい、貴様ッ!そこで、コソコソと何をしている!?」 門番が叫ぶと同時に身体が震えた。 俺の存在に気付いたらしい門番は鬼のような形相で俺を睨みながら、凄い怒鳴り声を上げていた。 「悪魔でも罪人でもないようだが・・・・・・もしかして脱走者か!?そんな報告は受けていないはずだ」 「いや、俺は、えっと・・・・・・」 どう説明すれば良いのだろうか。 いつの間にか死んでいて地獄に来ました、なんて言っても多分この怖い門番は信じないだろう。 門番は俺を『不審者』として見ている。それ自体は理解できるから構わない、そういう目で見られるのには不本意だが慣れてしまっているからな。 そんな事を思っていれば俺を睨んでいた門番が、いきなり声を上げて叫んだ。 「おいッ!今すぐにここから逃げろッ!早くしろ!」 その声と同時に今の今まで門番をしていたはずの悪魔の首がスパッと綺麗に斬り落とされた。 目の前で起きた出来事が上手く理解できず、ただただ驚いていれば、いつの間にか固く閉ざされていた門が内側から開けられてしまっていた。 そこには門番の声を聞いたらしい大量の悪魔達がが集まってきて、俺は凄く嫌な予感がしてきた。
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