第6章 現れた黒幕

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長いようで短い、アリスとのデートを終えて俺は完璧に元通りになった家でゆっくり寛いでいた。 対してやる事もないが眠る気にもなれずぼんやり天井を眺めていた。だが、人間というのは考える生き物だから、ついつい考え事をしてしまう。 『──貴方はクロくんじゃない』 そう言った時のMr.の絶望した表情。 そう言った時のMr.の絶望した声色。 そう言った時のMr.のもの凄い殺気。 『クロくん!可愛いですよ、天使です!もう一度キスさせてください!!お金は払いますから!』 ・・・・・・まるで別人のようだ。 『黒羽さん、彼はもう『敵』ですよ』 Mr.はMr.のままだと思っていた。 子供っぽくて、陽気で、我儘で、少し変で、常に味方をしてくれる。そう信じて疑わなかった。 でも、あの殺気を向けられた瞬間──俺は自分がどれだけ馬鹿だったかを思い知らされたんだ。 地獄に来て、悪魔達に気に入られて、ベリアルに甘やかされて、Mr.に好意を向けられる・・・・・・そういう毎日をなぜだか当たり前だと思っていた。 『アイツの本当の家族は──』 っ、なんだ?なんなんだ、今の記憶は? 父さんの声だった。いつも笑って俺を安心させてくれる頼れる父さんの声・・・・・・それが何で今? 『あの子には言わないって約束でしょ!この事は墓場まで持って行く、というのが神父様との約束事なんだから。聞かれでもしたら大変じゃない!』 なんなんだ、この嫌な感じ? 俺は一体何を忘れている? 『だがあんなに暴力的な子になるなんて神父様に聞いてない!これからどうやって生きていく!』 『少し短気なだけよ、すぐに治るわ!』 『もう良いだろ、俺達はアイツ・・・・・・輝の本当の親というわけでもないんだから』 は?なにを、言ってる?なんの、記憶なんだ? 覚えのない記憶が脳裏を過ぎる度ドクンドクンと脈打つように頭が痛み、どんどん酷くなってく。 そして体から力が抜けていくのを感じてマズいと思った瞬間──誰かに体をそっと支えられた。 「黒羽さん、大丈夫ですか?」 「ベリアル・・・・・・あ、ああ、悪い、もう平気だ」 不思議な事にベリアルに触れられると体調が良くなって脳裏を過ぎっていた記憶も消えていった。 とりあえずベッドに戻って、大きく息を吐く。 もう一度お礼を言おうと顔を上げれば、 「このネックレス・・・・・・誰から貰いました?」
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