第6章 現れた黒幕

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さっきの悪魔が言った通り街は酷いものだった。 いつもは穏やかに過ごしている悪魔達が暴れ回り街を壊してる。まるで性格が反転したみたいに。 どうすれば良いんだと思っていれば、ベリアルが俺の頭を撫でながらトンッと地面を足で叩いた。 すると地面に大きな亀裂が入った。 これには流石に暴れていた悪魔達もベリアルへと視線を向けて、その瞬間──土下座をした。 「ベ、ベリアル様!ど、どどどうしてここに!?」 「無礼をお許しください!」 「どうか命だけは!!」 混乱しながらも次々と命乞いをする悪魔達にベリアルはにっこり微笑みながら言った。 「明日までに街が修復してなければ貴方達を裁判にかけますからね、良いですか?返事をしなさい」 「「「分かりました、ベリアル様!!!」」」 流石としか言いようがないベリアルの堂々とした立ち振る舞いに思わず感激したのも束の間、俺はアリスの事を思い出してベリアルの服を掴んだ。 「ベリアル、アリスがっ・・・・・・!」 「落ち着いてください。既に居場所の特定は出来ていますから私が取り返してきます、貴方はここで待っていてくれますか?絶対に取り返します」 「俺のせいで連れて行かれたんだ!連れて行かないなら自分で行くから、場所だけ教えてくれ!!」 「連れて行きます、だから落ち着いてください」 いつの間にか流れていたらしい涙を拭われて俺はドクドクと脈打つ心臓を何とか押さえ付ける。 いつもは触れられるだけで「変態!」だとか言うが今だけは人肌が恋しくて、俺がそっと抱きつけばベリアルは驚きながらも俺の背を叩いてくれた。 「私が守ってあげますから安心してください」
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