第7章 孤高の戦士

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つまり、だ。 俺の目の前に座っているこの女性──いや、悪魔であるモリーさん(ゴモリーではなくモリーと呼ぶよう言われた)は魔王の奥さん?になるらしい。 今日はベリアルに用事があって来たらしいが極秘なので教えられない、と。モリーさんはすっごく話したそうにしてたがベリアルに止められてた。 「貴方達アスタロトとやり合うの?」 「やり合うというか交渉をしたいんだ。弱点は言わなくて良いから何か小さなヒントをくれないか?」 それなら同族を裏切る事にはならないはず。 そう思って聞いてみればモリーさんは少し考える素振りをするとポンッと手を叩いて言った。 「私の知り合いにマルコシアスっていう可愛い子が居るんだけど会ってみる?彼は生まれつきウソをつけないし、隠してるようだけれど天使に戻りたいみたいなのよ。だから手柄を立てたいはず」 そうか、大多数の悪魔は元天使だったな。 天使に戻りたい悪魔なんて居たのか・・・・・・本当に勝手だが俺はなりたくて悪魔になっているのかと思っていた。ベリアルも戻りたいのだろうか? いや、ないな。 ベリアルは顔こそ天使ではあるのだが性質は悪魔そのものだ。多分、今の生活を気に入ってる。 「私やベルちゃんは魔王に使えてるから裏切る事は出来ないけど、あの子は違う。貴方のような実直というか真面目な人間が大好きな子だから」 そう言って微笑む姿に胸がドキッと跳ねた。 「ベルちゃんと呼ばないでください、ゴモリー」 「なら貴方も『モリー』って読んでちょうだい!」 「本名はゴモリーでしょう?それに若い頃ならまだ呼べますが、流石の私も、何千、何万歳の女性をモリーなんて可愛らしい名前では呼べません」 「なっ・・・・・・!ほんっとうにデリカシーがない悪魔なのね!女の歳を言うものじゃないでしょ!?」 「──我々に性別はありません。人と関わりすぎて忘れたんですか?そんなんだから魔王に好かれる事が出来ないんですよ、分かりました?」 「っ、黙りなさい!このエセ天使!!」 パンッ、と乾いた音が部屋に響く。 凄い勢いで頬を叩かれたベリアルは赤くなってる左頬を撫でながら面倒くさそうに溜息をついた。
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