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「ゴモリー、最近忘れっぽいのですか?私は貴方のような下位悪魔とは違います。私に暴力を振るうと言う事は魔王に喧嘩を売るという事ですが?」
そう言えばベリアルは、やけにアスタロトなどの他の悪魔に少し冷たい態度を取るんだよな。
同族の弱点を教えないくらいには思っているようだが、それ以上でも以下でもない。俺の事は気に入ってると言って優しくしてくれるが・・・・・・。
「もう良いわ、これだから貴方の所になんて来たくないのよ!いっつも嫌味ばっかり!自分が興味のある人には親しくして、飽きればすぐに捨てる」
「ふふっ、すみません」
「心のこもってない謝罪はいらないわ!ごめんなさいね、クロ君。みっともない所を見せちゃって」
いやいや、この嫌味ったらしいエセ天使に文句を言っただけでも凄い。本気で尊敬に値する事だ。
モリーさんは俺の髪を優しく撫でると手を振って部屋を出て行った。頬を叩かれていたベリアルは大きく溜息をついて近くにあった本を手に取る。
「マルコに会いに行くのは良い考えだと思いますが私は彼が嫌いですし、彼も私を嫌ってるので貴方だけで行ってください。しばらくは、私も本職が忙しくなりそうなので不用意に来る事は遠慮してくれると助かります。ああ、マルコにはウソをついてはいけませんよ──殺されてしまいます」
こういう風にベリアルが早口で言う時はイライラしている時だ。初めて会った時も早口だった。
「教えてくれて助かる。でもそんな態度ばかりしているといつか他の悪魔達に見放されるぞ?」
「魔王にも嫌われてるので構いません、むしろ私を好きな悪魔なんて数人ほどしか居ませんからね」
だろうな。
数人居るだけでも信じられない。
ポンッと投げられた本を受け取って、俺は適当に礼を言ってから、ベリアルの屋敷を出て行った。
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