第7章 孤高の戦士

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本にはマルコシアスという悪夢が居そうな場所や容姿などが書かれているが・・・・・・見つからない。 マルコシアスは主に高い場所や森の訓練所に居る事が多いが、キレッぽい性格をしているので暴れ回っている内に迷子になっている可能性もある。 って、書いてあったから森の近くにある街っぽい所に来ているが全く居そうにないんだが? ここは騎士の街(ナイト・タウン)と言うらしく街の名前の通り悪魔の騎士がうじゃうじゃと歩いて居る。 ベリアルの部下も居たりするんだろうか。 そんな事を思いながら悪魔達に聞いてみたが全員人間(俺)が来ている事に驚くか、マルコシアスという名前を聞いて嫌そうな顔をするのかどちらか。 まぁ、そんな簡単に見つかるわけがない。 とりあえず今日は帰ろう。 そう思っていた時どこからか大きな音が聞こえてきて思わず身体が跳ねる。バクバクと音を立てている心臓を落ち着かせながら辺りを見回せば、 「マルコシアスが暴れてるぞ!逃げろ!!」 マルコシアス?あのマルコシアスか?? 「またか!?」 「嘘をつかれたと騒いでいるみたいだ!」 「そんくらいでキレるな──って、人間!?なんでここに居るのか知らねぇが、早く逃げろよ!!」 逃げたいのは山々だが話があるんだよ。 微かに震える手を握り締めながら音のする方角を見ていれば山の方から大きな狼?が走って来た。 あれがマルコシアス? いや、確かに狼のような容姿をしていると書いてあったがこんなに大きいなんて聞いてないぞ! まるで目の前に東京タワーが立ってるような無の圧力に思わず後ずさった。が、やるべき事を思い出して俺は控えめに、ゆっくりと言葉を紡いだ。 「マ、マルコシアス、か?」 「・・・・・・我は今機嫌が悪い」 「それは見て分かる。でも大事な話、」 ──ドォォォン。 地面に前足を叩き付けただけなのに、まるで火山でも噴火した時のような轟音が地面を伝ってきて込み上げてくる恐怖を耐えるように目を瞑った。
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