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ついたのは地獄絵図と呼ぶに相応しい、人間達の罪を清算する場所。つまりは、ほら、あの大きな釜戸とか、金棒を持った鬼がいるあんな場所だ。
そして今俺がいるここは、等活地獄という殺人を犯した者が連れて行かれる場所らしい。
俺を連れて歩いていた大柄な悪魔がその門を開けようとした時、
「ウェェーーー」
なんとも言えない微妙な鳴き声が聞こえた。
振り返るとそこには真っ黒な色をしたヤギの姿があって、俺は思わず固まってしまった。
えっ、ヤギってあんな鳴き声?てっきりヒツジみたいな感じだと思ってたが・・・・・・意外と声低いな。
「おう、メープル!どうした、俺に届け物か?」
悪魔は軽く挨拶すると、ヤギがくわえていた手紙を受け取って静かに手紙を読み始めた。
すると手紙に何か書いてあるようで、チラチラと俺と手紙を見比べると、しばらくしてから俺の両手を縛っていた頑丈な作りの縄がほどかれる。
思わず俺が首を傾げれば、驚く事に悪魔は困ったような表情を浮かべながら俺を見つめていた。
「あー・・・・・・ついさっきまた悪魔殺しの事件が起きたらしい。お前はここで俺と居たから・・・・・・あー、つまりお前が犯人じゃないって事が証明された」
「なるほど、それで縄を解いてくれたのか」
「本当にすまなかった、事情も聞かずに等活地獄に放り投げようとしてしまって。ついこの前、街の奴らが殺されてな・・・・・・気が立ってしまってた」
そう言って悪魔が申し訳なさそうな顔をした。
だがそれにたいして俺は、
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