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「えっ、乗せてくれるのか?」
契約を終えてどうやって帰ろうかと考えていればマルコシアス・・・・・・短くマルコと呼ぶ事にした。
マルコは俺を背中に乗せてくれると言った。
もちろん、狼姿の時の背中だ。
長い尻尾が身体に巻き付いたかと思えばそのまま器用に持ち上げられて背中に乗せられる。
フワフワの毛並みに顔を埋めたくなる衝動を堪えながら言われた通り、しっかり毛を握り締めればマルコの身体の横から大きな羽が二枚出てきた。
マジか、カッコ良い・・・・・・!一度で良いからこういう系の動物に乗ってみたかったんだよな!!
「貴殿は気持ちが顔にでないようだな」
「ん?ああ、まぁな」
「それだと勘違いされる事も多いのではないか?」
まぁ、生まれつき目付きが悪かったからな。
少し気になって見ていただけで「睨むな!」とかは言われていた気がする。良い記憶ではない。
だけど、
「勘違いさせた俺が悪いんだ」
「・・・・・・貴殿のようなタイプの人間は今まで何人か見てきたが、その誰も良い死に方をしなかった」
「なんだ、心配してくれるのか?優しいな」
「茶化すでない。貴殿は他の者達とは違い、知識も力も持っているではないか、なのに何故それらを駆使して一矢報いる事を生前にしなかった?」
確かに何度かは考えた事がある。
俺はコンピュータ類の操作も得意だったから携帯などに侵入してハッキングする事も考えたがそれだとつまらない。苦しめられないと思ったんだ。
そして力でアイツらを抑える事もできたが、それだとこいつらと変わらないと思ってやめた。
最終的に俺は──全てを諦めた。
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