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「なぁ、何で俺には死んだ記憶がないんだ?」
ふと俺はそう問い掛けた。
すると一緒に調べ物をしていたベリアルはあからさまに面倒くさそうな顔をしながら言った。
「・・・・・・なくて良いじゃないですか。自分が死んだ時の記憶は必要ないでしょう?過去の記憶はキチンとあるみたいですし、無理に思い出す必要は、」
「記憶はある、でも、色々と矛盾点があるんだ」
そう言えば僅かに興味を示したらしいベリアルが本を閉じて俺の方へと静かに視線を向ける。
この体制をするって事は、話を聞くって事だ。
「たまに発作みたいに蘇ってくる・・・・・・どう言えば良いのか分からないが、こう、なんというか俺の頭に俺じゃない誰かの記憶があるような・・・・・・」
自分で言って意味が分からなくなってきた。
「大抵の人間は自分が死んだというショックを受け入れられず死亡時の記憶を失っています。ですが貴方は記憶を上書きされた痕跡が見られますね」
「上書き?」
「ええ、一度魔王がその魔法をかけられてしまって魔界が荒れたんですよ。そして怒り狂った魔王がその魔法を使える悪魔を皆殺しにし、その魔法を禁忌魔法として使う事を禁止にしてしまいました」
禁止にされた?
そんなに危険な物なのか?
「その魔法は貴方が言うように他人の記憶を移した物で本来の記憶ではありません。誰がやったかは分かりませんし、どこまでが他人の記憶なのかも私には分かりませんが、もしかしたら貴方の性格そのものが他人の性格なのかもしれませんね」
「俺の性格・・・・・・」
俺は過去の俺を封印した。家族が居たから。
でも、もし、その家族が居なかったら・・・・・・今のこの俺の人格は誰なんだ?俺なのか?
「──なーんて!少し考え過ぎでは?あんまり頭を使い過ぎると過労で死んでしまいますよ、だから休んでください、調べ物は私がしますから。ね?」
その声に思考の海から引き上げられる。
グルグルと頭の中を回っていた考えを持って落ち着かせる為に頭を振れば、礼を言おうとすれば、
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