43人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が一日出かけてくると言ったら大半の悪魔達は心配するか、デートか?などと言ってからかってきたが一人だけ微妙な顔をしている奴が居た。
──アリスだ。
ずっと構ってやってないからか拗ねてしまっててロクに挨拶されなかった。まぁ、別に良いが。
いや、でも、あの悲しそ、
「──クロくん、誰の事を考えているんです?」
右手首に鈍い痛みが走る。
「Mr?」
「俺と居る時に俺の事以外を考えるな!」
不機嫌そうな声で告げられた言葉に思わず驚いていればハッとしたようにMrは俺の手を離した。
「す、すみません、変な事を言って・・・・・・最近少し調子が良くない事が多くて。本当に、すみません」
まるで別人のようだな。
ストレスでも溜まってるのか?
「気にするな、考え事をしてた俺が悪かった」
「ですが、」
「良いから手を貸せ。デートするんだろ?」
「! は、はい」
控え目に差し出された右手を握る。
手袋越しの手は信じられないくらい冷くて思わず離しそうになれば、強く手を握り返される。
「最後のデート、楽しみましょうね?」
「・・・・・・ああ」
こうして俺とMr(様子が変だが)との最後のデートとやらの幕が上がった。
最初のコメントを投稿しよう!