第9章 最後のデート

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長かったような、短かったような、そんな一日が終わり俺はMrが見つけていた宿に入った。 中はそこそこ広くて二人で泊まるくらいなら困る事はないくらいで、快適だと思いながらベットに横になれば覆い被さるようにMrが乗ってくる。 「クロくん、今日一緒に寝ても?」 「あー・・・・・・まぁ、良いぞ。 でも今日だけだ」 アリスみたいな子供と寝るのとは訳が違う。 Mrは嬉しそうに笑うと俺の目を手で覆った。 少しするとカタッと何かを置く音がする。 「寝る時は仮面を外すようにしてるんです、なので絶対に目を開けないでください。私の顔を見たらきっと幻滅します──あまりに醜い傷があるので」 「傷跡くらいで何も言わない、カッコ良いだろ?」 「あっ・・・・・・う、嬉しいですけど!それでも、ダメなんですよ! 貴方には見せたくないんです!!」 「・・・・・・分かった」 言われた通り目を開けずに答えれば、目を覆っていたMrの手が離れていき、優しく頬を撫でた。 そして前髪に触れたかと思えば額にキスされる。 「お休みなさい、クロくん」 その声と同時に俺は夢の世界に落ちていった。
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