第10章 取り戻した記憶

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あの時、感情的に動かなければ。 あの時、冷静に動いていれば。 あの時、少女を助けていれば。 ──俺はなんて言われなかった。 「・・・・・・ロ、クロ! 聞いているのか、クロ!!」 甲高い声に意識が引き戻される。 下を見てみれば、そこには不機嫌そうにむくれているアリスが居て俺はそっとその髪を撫でた。 「悪い、考え事をしてた。 何か話か?」 「き、今日は一緒に寝ても良いかと聞いたのだ!」 「別に構わないが・・・・・・どうかしたか? 俺よりも他の奴の方がそういうのに慣れてると思うが」 「クロが良いのだ!」 「分かったら叫ぶな、また夜に来い」 そう言って部屋から追い出せば不機嫌そうな声が聞こえてきて「意味が分からない」と小さく呟く。 どうしてアリスは俺と寝たがるんだ。 俺はそういうの慣れてないっていってるのに。 悪夢でも見ていたら言うはずだろうし・・・・・・何か嫌がらせでもされたら顔に出るはずだが、ない。 俺は誰かと一緒に眠りたいなんて思わなかったし考えた事もなかった。 男と女では違うものか? まぁ、良い。 とりあえず一眠りしよう。 地獄に来てからは何だか疲れやすいからな。 そう言って俺は瞼を閉じた。
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