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第4セット、出足は変わらずの劣性が続く。
廣田のサーブに慣れてきたのかもしれない。龍平はレシーブミスどころか積極的にチキータで返球したり二球目から回り込みのフォアハンドで仕掛けたりするようになった。龍平の攻撃的なレシーブに廣田は三球目を攻めあぐねた。
「9ー9(ナインオール)」
さきにマッチポイントをとりたい。ベンチに座りながら、拓真は祈るように膝の上で両手を組んだ。握りしめる力のあまり、指先が痛んだ。
団体メンバーになって試合に出たいと思う反面、龍平の立場でなくて良かったとほっとした。総体県予選の準決勝で、普段どおりの力を発揮できる自信はない。一年生ならなおさらだ。ベンチで応援しているだけでも腹が痛くなる。
龍平は一息つき、構えた。 ラケットでボールをついたまま、廣田はなかなかサーブの姿勢に入らない。平然としているふうに見えて、胸中は不安や恐れで揺らいでいるのかもしれない。
廣田は台上でボールを弾ませ――静止。
一時の静寂。
トス。
落下してきたボールをインパクト――が、廣田のサーブは大きくバウンドし、龍平の側のコートを越えていった。
「9ー10(ナイン・テン)」
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