新年に関するあれこれ

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新年に関するあれこれ

 サンタクロースが赤い服を着た白髭の温厚そうな老人になったのはコカ・コーラの広告のせいであって、それ以前はあんなイメージはなかったという。今でもドイツやスイスあたりに行くと、角を生やした異形の仮面をつけて 鞭を持って歩き回るクリスマスの精霊を見ることができる。悪い仔を探して罰を与えるわけだが、これはだいたい秋田のナマハゲと一緒と思っていい。  なんで正月にクリスマスの話をしているのかというと、クリスマスの日付と言うのが、ゲルマンの異教時代の冬至祭りと重なるのではないかと言われているからだ。夜が最も長くなり、冬が最も寒くなる極限の日。それを過ぎた瞬間から世界が春に向かって動き出す日。これこそ新年の祭りにふさわしいものと思う。グレゴリオ暦、つまり今使われている太陽暦とほぼ同じものだが、これが一年のはじまりに今の一月一日を定めたことに、特に根拠はないらしい。あえて冬至祭りの日をはずしたのではないか、というのは個人的な想像だが、うがちすぎか。  カレンダーと言うのはそもそも、農事暦として必要とされ、発達した。  つまり、農民がいつ種をまき、いつ刈り取りをするかといったようなことの基準となるもののことである。だから重要とされるのは暑さ寒さ、雨や風の予想、日照の長さや強さであって、一年のはじまりというのは、日本の太陰暦でも不定であった。当時の文献を読むと、人々が新年を実感したのは立春のほうであり、これが中心で、正月は立春の前後を浮動するものと受け取られていたようである。  これに関する川柳やジョークがいろいろあった気がするが、今は思い出せない。  思い出したら来年なにか書こう。  それでは皆様、良いお正月を。      
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