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「歩ー! 起きやー!」
歩はおばあのその声で、眠りから覚醒する。
(あ…… いつの間にか寝てしまってたんか)
部屋の電気は消えてはいるが、窓から差し込む光明が朝になっていると、はっきりと伝えてくれている。
スマホが表示する時計の時刻はまだ、設定している、目覚ましの時刻まで達していなかった。 歩は、朝は強く目覚ましが鳴れば、すぐに起きれるタイプの人間だが毎度毎度、目覚まし前に起こしにくる、おばあに少しの苛立ちを覚えていた。
「ご飯出来てるでー! はよ食べや!」
(もう少し寝れたのに)と少し不満を抱えている歩を他所に、おばあは慌しい声で"朝ご飯を食べろ"と催促をして来る。
(朝はもっと、ゆっくりしたいんやけど)と歩は思いながらも、布団を畳み、襖にしまうと寝室を出て台所へと向かう。
歩は"訳あって"おばあと二人で暮らしている。
二人暮らし用の狭いテーブルには、まだ何も食事を置かれていない。 それも毎度の事なので歩は気に留める事なく、台所の横にある冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに入れ、一気に飲み干す。
足の短いローテーブルな為に、歩は畳の上に胡座をかき、垂れ流しされているテレビの中のニュースキャスターの顔を見て
(今日も可愛いなぁ)
とニュースの内容そっちのけの感想をしながら、朝ご飯を運ばれるの持っていた。
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