48人が本棚に入れています
本棚に追加
そうこうしている内に、食卓には次々と食事が運ばれてくる。
「今日も多いなぁ〜〜」
おばあが作る朝ご飯の量はいつも多く、そして、和洋折衷の境界線がなかった。
煮魚とオムライスといった、凄く合わない組み合わせの献立を普通に出してくる。 今日は昨日の"店"の残りで出た、牡蠣フライに豚キムチに出し巻き卵に白ご飯。 汁物は、いつもみそ汁が顔を連ねている。
お茶碗の中の白飯が空になると、すぐにご飯をおかわりさせようとしてくる、おばあとの必死な攻防を繰り広げながらも、歩は朝食を完食する。
(なんで毎日、こんなに飯食ってんのに背伸びへんのかなぁ……)
と歩は成長期真っ只中にしては、上背が165センチと低い事を悩んでいた。
そんな、考えてもどうしようもない事をテレビに視線をやりながら、ぼーっと考えていると、テーブルに置いていたスマホからLIMEの通知が鳴る。
「あ、もうこんな時間か! おばあ! 行ってくるわー!」
「はーい。 行ってらっしゃい。 勉強頑張っておいでやー」
とおばあから台所で見送られ「はいはい」と軽く返事をし、急いで制服に袖を通し玄関へと向かう。
「おばあー! 帰りに何か買ってくるもん、あるーー?!」
「……。」
はっ、と何かを思い出した歩は、靴を履きながら台所を向き、耳が遠いおばあに聞こえるように声を大きく張ったが、おばあに届いていないのか返事はなかった。
「あれでも聞こえてないんかい…! まあ、ええや。 何かあったら電話してくるやろ」
歩はそう自己完結し、棚に置いてある自転車の鍵を取ると、慌しく家を出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!