僕らは支配された鎖

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「満足したか、廃品。貴様はもう……死ぬがいい」 「おとぎ話なんかじゃない。本気になれば不可能なんてない」 「あ?」 アイを抱きしめたまま、シュウは空を見上げた。 薄い空色に溶け込むようにして、空には蒼い月が浮かんでいた。 それに向かってシュウは手を伸ばす。 「夢で終わらない。未来を信じているんだ」 「……戯れ言を。もう死ね」 「やめて……やめてーっ!!!」 パァンと、昼間の銃声は鳴り響く。 悲痛な叫びは届かず、血が飛び散り、アイの髪を濡らした。 身体を支える力をなくしたシュウが、アイの肩にずっしりと重みを与えた。 背中に染みていく熱い血が、生々しくて、アイはシュウの後頭部に触れる。 粘着質のある液体が、アイの手を濡らす。 それを見たアイは狂ったように月に向かって叫ぶのだった。 暴れるアイの身体と、抜け殻となったシュウの身体が兵士の手によって引き離される。 アイは何度も何度もシュウの名前を呼び、手を伸ばした。 その声に返事するものはなく、廃墟ビルだらけのこの街に、すべてを失った少女の叫びが響き渡った。 それから兵士たちによって建物に隠れていた女・子どもが引きずり出される。 私たちに未来なんてない。 そう言うかのように、生きている者も死んでいる者も、廃品回収車に乗せられていった。
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