口の悪い女

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口の悪い女

 溝山さおりは口が悪かった。  悪口大好きで、常に人間ウォッチングをしており、クラスメイトの様子を面白おかしく仲の良い子たちに話していた。  それを聞いていた人たちも、ニタニタ・ケラケラ笑っていた。 「田辺の顔、まじきもいw  あいつよく結婚できて子どもまで作れたよなーwww」  田辺とは担任の名前だ。  田辺は、溝山さおりを気に入ってるのか、可愛がっている。 「授業中、中谷が大欠伸してさー。  ただでさえ不細工な顔が余計不細工になってやんの」 「松木、今日靴下を左右違うの履いてんの!」  なんでこの人はこんな悪口ばかりで、なんで人の嫌な所ばかり見ているんだろう?と思うと同時に、意外な人間性に驚いた。  というか私が、「ハンディのある人=頑張ってる人」「ハンディのある人=人に優しい」なんて、勝手な印象を抱いていたのもよろしくないのかもしれないが。  そんなイメージ、当事者の方からしたら、 「勝手なイメージを作るな」  って話だよね。  私だって確かに、 「君はもっと純粋で優しいと思ってたのに」  なんて言われたら、心外だ。
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