其ノ女、害悪也。

怒らせた理由

　ある日教室にいたら、かれんちゃんのクラスの担任、山本先生に呼ばれた。
　生徒指導室に連れて行かれ、何言われるのかどきどきしていたら、

「あのさ…うちのクラスの木崎が、園部山が自分のクラスで、木崎の悪口を言ってる、って話してるんだ」

　…なんとこと！？？
　寝耳に水だ。

「えっと…心当たり、ないです」

　本当、なんのことだろう、心当たりがなく、困惑した。
　確かに最近、クラスの女の子と話すようになっている、が、かれんちゃんの悪口なんて、言ってない！

　一方で、溝山はクラスで少し孤立していた。
　悪口ばかり言い、ハンディを盾にするようなことをしているのだから、ある意味そうなるのが自然だろう。
　クラスの子たちと話してる私を、溝山はどろっとした表情で見ていたので、私は溝山の方を見ないようにしていた。