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第一週 別れのブーケ (大根草・禊萩)
AM 7:30。
シャッターを開け、店頭にポットを並べる。
前日飾っていた花は、水を変えて店内へ。
私の一日は、こうして始まる。
良い香りと爽やかな風があふれる。
暦の上ではもう秋なのに、容赦なく照り付けてくる日差し。
店頭に並ぶ花は、心なしか輝いて見える。
町の端っこにあるこの花屋も、私で3代目。
物心ついたころから、将来の夢は花屋一択だった。
大好きなお花に囲まれて、お客様とおしゃべりをする。
――おはよう。今日も早いね!
「おはようございます!今日も暑いので、気を付けてくださいね!」
――今日も元気だねぇ。なんだかこっちまで楽しくなっちゃう!
「ありがとうございます!行ってらっしゃい!」
――――あ、あのう…
近所の方と談笑していると、白いワンピースを着た女性がやってきた。
見慣れない顔だなぁ・・・
「おはようございます。いらっしゃいませ!」
丁寧に頭を下げると、女性は帽子のつばに手を当てて軽く会釈をした。
――結婚式で使うブーケって、お願いできますか?
「・・・!はい勿論です!!どのようなお花にいたしましょう?」
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