間違えたその先

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ズルズルと続いた生温い関係は、時間と共に変わっていった。 マリ先輩には旦那さんとの子供が出来て飲み会に来なくなり、俺は恋人と喧嘩をしたり仲直りをしたりを繰り返して理解を深めていった。 あれだけ好きだったのにと考えたけれど、俺はマリ先輩と一緒にいて幸せだと感じられた事があまりにも少ないことに気づいた。 恋に恋するなんてバカな話だった。 俺のことを本当に好きでいてくれている恋人が居るのに、どうして今まで気づくことが出来なかったのかと以前までの自分を殴り飛ばしてやりたいと何度も思うようになっていた。 そんな時だ、突然マリ先輩から飲み会を開かないかと誘いが来たのは。 すぐに作ったグループチャットでは子供は大丈夫なのかとか、旦那のことはとか、矢継ぎ早にみんな質問していたけれど、あの頃と変わらず「へーきへーき!」という先輩に押され、集まることになった。 俺はざわつく胸を抑えつつ参加することになった。 マリ先輩から名指しで強制参加と言われ、それに悪ノリした連中によって参加せざる得ない状況になってしまって諦めるしかなくて。 何も知らない恋人は「楽しんできてね」なんて呑気なメッセージを送ってきて、もやもやしつつ店の軒をくぐっった。
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