両親へのサプライズを企画したのに私が一番驚いた話

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本当に、今まで生きてきた中でこんな驚きはなかった。 私がタブレットから顔を上げずに返事をしないことに腹を立てた母が、腕を引き、後頭部を食器棚にぶつけた。 よろめきながら起き上がると父と母が喧嘩をしていた。 私は、声を荒げる二人を初めて見た。なんて、素敵なんだろう。 生き生きしている。 殺意って、生きている人間にしか向かない。 父も母も全力で生きている。 私は、最高潮で 父にブロンズ像を 母に包丁を 握らせた。 両親の目に私は映っていない。今までと同じ。 サイレンが大きくなる。 育った家に別れを告げるように天井を見上げる。 あ、 籠の紐を引く。 フラワーシャワー。 今日は、結婚記念日だった。 花びらが床に落ちて赤く染まる。 (死が二人を分かつまで……) おめでとう、パパとママ。
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