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あるいは、私がこの白菊にはそぐわない貧乏な田舎娘であることに感づき始め、やはりブサイクとはいっても裕福な家庭の子女である彼女たちは、かかわっていてもなにもメリットがないことに思いいたったのかも。
まわりの対応がそんなものだから、サークルやクラブに入る勇気が微塵もなくなったのはいうまでもない。
ゆえに、私の友人づくりの意気込みは、入学後一月も経たずして、すでにしぼみきっていた。
まだ一九歳の女子に、こんな状況がつらくないわけがない。いくら好きな英米文学科に入れたからとはいえ、友だちがひとりもいないというのは地獄。
―――私ってなんなんだろう……。私って生きている意味……あるの?
バイトの問題だってそうだ。
東京に出てきてから、英語の塾講師も家庭教師も、いく度も受けた。人と顔を合わせたり教えたりするのは苦手だけど、好きな英語を仕事にできればやはり嬉しい。それに第一、こっちは生活費が必要なのだ。
しかし、一度たりとも受かったためしがない。
白菊女子大のレベルがあれば、能力的にはなにも問題はないはず。だが、顔に問題があった。
面接官は「ブサイクだからダメ」とはもちろんいわない。いわないかわりに、私とは一切目を合わさず、はじめから終わりまでずっとうつむいたままでいる。
私の顔を見るのがきついのか……。
もしくは、うつむいた先にある履歴書の、一番上に書いてある私の名前に釘づけになっているのか……。
どこも決まってそうだった。女性の面接官などは、顔を伏せたまま涙ぐむ人もいた。なぜなのかはわからない。
そして私のほうから一方的に志望動機を述べるだけで、向うからの質問はまったくなく、「結果は後日」という決まり文句で面接は終了する。だけど後日を待つまでもなく、不採用はわかる。私はそんなに鈍感じゃない。
なんとか食いぶちを見つけなければならないので、英語関係の職種をとりあえずペンディングして、必死でアルバイトニュースをめくった。―――けど、結果は講師面接の展開と、どこもすべて、まったく、ことごとく、同じだった。
こんな顔で今後も生きていくとなると、バイトどころか、いずれやってくる就職という難関も、乗り越えることができないのは確実。
そして誰からも相手にされず、この都会で無一文になったら、そのときはやっぱり私……。
思いっきり頭をふった。
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