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今からそんなことを悩んでいても仕方がない。まずは新たな仕事を探すこと。現在の蓄えでは、夏休みを乗りきるのが精いっぱい。当然、帰省する費用などあるはずもない。
バックから手帳をとりだし、受かる見込みのないバイト募集の詳細を、上から順番に書きとめようとした―――と、そのとき、
「ど~してダメなのよっ!?」
怒鳴り声が鼓膜を震わせた。
驚いてふり向くと、五、六メートルほど先の事務室窓口に、頭を突っ込むようにして仁王立ちになっている女がいた。
「あんたっ! あたしが誰だか知ってるのっ!」
―――あっ……知ってる!
長い髪が隠して顔は見えなかったけど、その下に伸びているファッションモデルのようなボディーと、それを包み込んでいる高級そうなサマージャケットに超ミニスカート、そして細く長い脚先の艶めくハイヒールが、特定させた。
御萌美子……さん。あの人しか考えられない。
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