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「はっ! 矢田くん!!? って誰、」
「呼びましたか?」
「ヒョエーーーー!!?」
やだヤダ脳内で言ってたら脳内変換で「矢田」になって、思わず口に出して言ってしまったよ。そんな苗字の知り合いは、いないと言うのに。
私語厳禁の図書室で、小さい声とはいえ独り言を言ってしまったことを恥じた私。思わず頬を可憐に染めて、口に手を持ってきて上品に照れる。
そう、今の私は「文学お嬢様」がテーマだから。
そう思い自分で自分の発言をスルーしようとしたところ、人がいる気配がない背後から反応が来た。ビビリの私はものすっごく驚いて、椅子から起立をして両手を上げて無抵抗を体で表現した。
穏やかな静寂が包む図書室で、この声が見過ごされるはずがなく図書室にいる人の全視線を集めてしまった。私は頬を引きつらせて「すみませんでした・・・・・・」と謝罪をし、両手を下げて椅子に座り直した。
椅子に座り直すときに、知らない男子生徒が私の後ろで足を押さえて蹲っている姿が視界に入る。心配した私は「大丈夫ですか」と上半身を捻り、男子生徒に声をかけた。男子生徒は「大、丈夫ですっ」などど、全然大丈夫じゃない返事をしてくれた。
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