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私のあからさまな反応にどんどん目線が下に下がり、ついに机という名の地についた矢田くん。全く動かなくなってしまったので、ツンツンと突いても反応は帰ってこなかった。生きた屍のようだ。
ヤバい、一人の人(の心)を殺してしまったかもしれない。恐怖に打ち震えていると、矢田くんがぐすんっと肩を震わせて泣き始めた。
「お、俺もさ、自分が存在感がないやづだってことバ、知ってるんだヨォ」
「う、うん」
「けどさ、何で皆、揃いも揃って俺のことを覚えてくれないの〜〜? 確かに、一年の頃に肺炎拗らせて、コロナに感染したらってことでお母さんに止められて、学校にあんまり行けなかったけどさ。
名前も、「矢作くん」とか「田中くん」とか言ってくるし・・・。田中に至っては、出席番号を考えろって感じだし」
矢田くんの口から愚痴が溢れる、溢れる。私的には初対面な彼に、こうも愚痴を言うのを正直やめて欲しいが、その権利は実際に分からなかった私にはないだろう。甘んじて矢田くんの愚痴を受け入れることにした。
「お、おぉ。それは流石に、そう思うね」
「ちなみに、それを言ったのはテストで、君の消しゴム拾った時。「田中くん、だっけ。ありがとう」って」
「おおおーーーーっ! 私か、私なのか!!」
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