矢田くんとの遭遇。

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 何してんだよ、私! 確かに私はバカだし、考えなしだし、人の名前を覚えるのが苦手だけど、その状況で「田中くん」って適当に言うとか。私のバカ!  過去の自分に右フックを脳内で決めながら、どう矢田くんに声をかけるべきか考える。 「別に、謝罪の言葉が欲しいわけじゃないからね」 「あ、ほんと」 「ただ、さっき「矢田くん」って呼ばれて、やっと名前を覚えてくれた人がいたのかと思っただけで・・・」 「マジでごめんなさい!!」  うぇぇーーー、矢田くんにはもう一生頭が上がらない。超スペクタクルローリング土下座で矢田くんに謝りたいところだが、ここは図書室なのでそんなことは出来ない。  あ、ちなみに会話は全部小声でしてますよ? 叫び声も全部小声で頑張ってますよ。 「そう、ただ一つお願いがあるんだ」  そう言って矢田くんはズボンのポケットから、りんごマークがある王道のスマホを取り出した。何をお願いされるのだろう、私は予想がつかないので矢田くんがお願いをいうのを待つ。
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