矢田くんとの遭遇。

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 セミが鳴く音をBGMにして、私は優雅に図書室で本をめくる。きちんと三つ指を揃えて、ゆっくりと余裕を持たせた優雅な動きで。こう、ぺろりと。  クーラーの稼働音すら味方につけたかのような動きは、図書室にいる人々の注目を惹きつける。図書室で友達と本を選んでいる女の子達、斜め向かいで本を読んでいる男の子、全てが注目している。  「本」に。そう、私にはみんな注目していない。 ーー優雅すぎて一挙一動に注目が集まるような女の子、いるわけないがな! どこのお嬢様だ。  そう自分にツッコミを入れて、背筋はぴしりと伸ばしたまま残念な思考を続ける。 ーー三者面談は初日の初めの枠を希望してたはずなのに、なんで三番目になったかなー。ちゃんと「他にこの時間しか無理って子がいて、四番目じゃ難しいかな?」先生に相談されて、OKは出したけどさ。  みんな何でそんなに時間に余裕がないの? 私的には初日の一番にさっさと終わらせて、帰宅部特権を生かして家に帰りたいよ。  あーー、ホント嫌だ、やだヤダ、ヤダーーー!!
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