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人類社会の中枢は、真の人たる人間種によって担われるべきと、彼らは主張し続けている。
それを支持する者は、社会のあらゆる階層に一定数が存在している。
桐ヶ谷虹が育った児童養護施設『天使の家』もまた、くだんの団体によって運営されている。
受け入れは人間種の児童のみに限定されているけれども、児童の待遇の良さ、それに卒業生たちの優秀さについては定評があった。
「ときに、今日はもうお疲れですかな? 先程から少し元気がないようにお見受けしますが」
「ああ、いや、そんなことありません! 景色も素晴らしいですし、料理だってとても美味しいです」
やや慌てたような調子で言葉を返す青年に、蘭堂は年上らしい鷹揚さで続ける。
「では、何か他のことかな? 河都での研修期間がどれくらいかは分かりませんが、決して短くはない筈です。最初から無理をしては保ちませんよ。慣れぬ土地で心細いかと思いますが、どうか遠慮なさらず、わたしと蘭堂の家を実家と思って、頼ってください」
「ありがとうございます。ええと、実は……」
桐ヶ谷は今の悩みの種になっている一部始終を、ところどころつかえながら蘭堂に打ち明けた。
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