3.殺人事件と投稿動画

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 笑い声に混じって聞こえていた悲鳴は、空気が漏れるような呻き声に代わり、やがてそれも聞こえなくなると 『おい、これやり過ぎじゃね?』 『でも、出来るだけヒデェ目に遭わせろってのが条件だろ? じゃ、仕方なくね?』 『おーいオッサン、生きてる?』 『さっさと逃げるぞ! お前もいつまでも撮ってンじゃねーよ!』 『なぁ、これで幹部に取り立てて貰えるんだよな』 『しらねーよ!』  それを最後に動画は途切れた。 「あ、それなら、ぼくも見ま、っぷ」  胃の中身を生け垣の間にひっくり返し、多少すっきりして戻ってきた桐ヶ谷はしかし、再び催してきたのか口元を押さえた。 「おう、吐くンならあっち行け」  鑑識官は長い尻尾で、色とりどりのタイルで舗装された地面をぴしぴしと叩きながら、吐き気を訴える桐ヶ谷を追い立てるが、今度は間に合わない。 「や、っぱり、獣人は、や、野蛮んおぇぇええぇぇぇぇ」 「馬鹿野郎! 現場を汚すんじゃねぇ!」  びしゃびしゃとその場に胃液を漏らす桐ヶ谷を、鑑識官が怒鳴りつけた。
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