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「けど、階級は現時点でも、瀬畑巡査部長よりぼくの方が高い。これは指導役としてどうなのかと思いますが」
「彼は現場に出ることも多くて、その分、昇進試験を後回しにしがちでね。それについては、瀬畑や周りには色々言ってるんだけど。そういった部分も含めて、見聞きして今後の判断材料にするのも、この研修のもう一つの狙いなのさ」
そこで若き刑事課長は一旦言葉を切り、息を吸って吐いてから再び
「それより、彼と話をしてみたかい?」
「いえ、まだ。挨拶くらいはしましたが」
「良いじゃないか! 挨拶は大事だよ。まずはそこから、ってね」
「瀬畑巡査部長が声を掛けてきたから、返しただけです」
「悪いやつじゃないだろ?」
「でも、獣人です。怖くて、震えが止まりません」
ふたたび柳は言葉を切り、ふぅと小さく息を吐いた。
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