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「何をしている⁉」
肩で息をしながら叫ぶ瀬畑に気付いてか、輪になっていた獣人のうちの数人が振り向いた。一行のうち1名は東岸署の署員だが、あとの2名は西区の本署だった筈だ。残る1人は面識がない。
「生意気抜かす新人によ、教育的指導ってヤツだ。オマケに何だコレ、こんな臭ぇモン付けやがって」
ガタイのいい熊族の男が、輪の真ん中で倒れた桐ヶ谷を乱暴に足蹴にしながら言う。
「おう、あんたも一緒にやるか?」
何がおかしいのか、どっと笑う一向が、瀬畑にはことさらに不愉快に映った。
「誰がこんなことをしろと言った!」
「お?」
どかどかと乱暴に足音を立てながら大股で一向に近づき、一行を押しのけて輪の中へと入る。そのうちのひとり、柴系の犬狼族の男を掴んで投げ飛ばす。
咄嗟に受け身を取り切れなかった男は、背中を畳にしたたかに打ち付けた。
「痛ってぇ! 何しやがる!」
男が抗議の声を上げるが、それは気にも留めず
「言え! 誰の指示だ!」
苦しげに倒れ伏す桐ヶ谷の横に立ち、吠えつつ一行を睨み付ける。
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