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「何かを怖いと思うのは、それを知らないからなんだよ。きみにとって、これは認識を変えるための良い機会になると、わたしは思うんだ」
柳の言葉も一理あると思った桐ケ谷は、今度こそ反論の言葉を失った。もごもごと何事かを口ごもったまま俯く。そこに
「終わりましたか?」
背後から掛けられた声に驚いて、弾かれたように振り返り、そのまま凍り付いた。
金茶色と黒の毛皮に包まれたジャーマン・シェパード系の犬狼族、瀬畑が立ちつくし、いつまでも話の終わらぬふたりを見ていた。
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