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時の将軍足利義政は最近悪夢に悩まされていた。
毎夜毎夜、夢に鬼が現れ、彼を苦しめていた。
彼の正室は富子と言った。だが、富子を娶る遙か前に、彼には今参局(いままいりのつぼね)と言う愛人が居た。
彼女は義政の若き乳母でもあった。
その身分の卑しさから彼女は当初から側室として扱われた。が、才色兼備であった彼女は側室の地位に留まらず、政治に口出しするようになった。
尾張の変に口出しをし、有馬持家、烏丸資任の力を借り、義政に自分の意見を押しつけた。
自身や、重臣の意見を退けられ怒った義政の母、日野重子は今参局を洛外に追放したが、義政はすぐにそれを身近くに呼び戻した。
御今と呼ばれた彼女は先の有馬持家、烏丸資任の力を借り、政治を牛耳りその力は三魔とも呼ばれた。
その後、義政は日野富子を正室として迎えたが、今参局との逢瀬は続いた。
そんな中でも富子は懐妊し、男児を産んだ。
義政は狂喜したが、その児はすぐに死んだ。
巷では御今様の呪いと噂された。
世間の声に圧され、義政は今参局を琵琶湖の沖の島に配流させた。
その道すがら御今様は自刃して果てた。
世間ではそれを富子による呪詛と噂しあった。
それからの義政は富子と不仲となり、政治は顧みず、遊興に現を抜かすようになっていた。
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