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ポテトを口をすぼめて舐めながら奈美は言った。
「宗介から聞いたけど……、啓太も夏菜のこと好きらしいよ」
「えー!」
「夏菜、声大きい」
ランチの時間帯で混み合っている店内の視線が私たちのテーブルに集中する。
「ごめんごめん。でも、それって……」
「2週間くらい前、宗介が仕事帰りにたまたま啓太と会ってそのまま飲みに行ったらしいんだけど、そんな話があったんだって」
先週一緒に映画を見に行ったのに、全然そんな雰囲気は出してなかったけど。
ってか、自分で誘ったくせに途中で寝てたし。
好きなら早く言ってくれればいいのに。
こんなにもやもやしなくてすむのに。
「この前会ったけど、全然そんな感じゃなかったよ」
「啓太は自分からって感じがしないもんね。どこか行くときも、メニュー選ぶときも、最後に『みんなと同じでいい』だし」
私と2人のときも、お店決めるのはだいたい私だし、映画を見に行こうと誘ったのも私だった。
「夏菜の方からいかないと、次に進まないかもね」
私からか。
「でもさ、急に態度が変わると変じゃない?」
「じゃあ、今度4人で飲むときにうまく振ってあげるからさ。夏菜も頑張りな。あ、そろそろ時間」
皿に残ったポテトをぜんぶ鷲掴みにしてガバっと放り込む。
「ときには大胆さも大事よね」
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