80人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
見上げた天井の明かりがほんのりと照らす室内。
グレーのカーテンに、白のテーブル、そして……黒のベッド。
初めて入った部屋は、モノトーンで統一されていて、男の人の部屋だなあって思う。
部屋中啓太の匂いで包まれている気がした。
「……ねえ、啓太」
「何?」
「わたし……我慢できない」
「えっ、もう少し待ってよ」
「ええ〜、もう充分でしょ」
「だって……まだ入れたばっかじゃん」
「……固いのがいいんだもん」
「さすがに早くない?」
「そうかなあ」
「……まあ、止めるもんじゃないし。お好きにどうぞ」
「じゃあ……いくよ」
ビリビリビリ。
薄い蓋を勢いよく開けると、もやもやっとした湯気が一気に顔を包み込む。
「お湯入れてまだ2分もたってないのに、もう開けるんだ」
ベッドに座っている啓太が苦笑している。
屋台で食べる締めのラーメンも固めが好きな私は、熱湯入れて5分のカップラーメンを指示通り5分も待ってられない。
ズルズルズル……
あー美味しい。生き返る。
たくさん飲んだ日は、どうしても塩分が欲しくなってしまう。
「俺も食べよ」
ベッドから降りた啓太がテーブルの向こう側に座り、カップ麺を開ける。
ズルズルズル……
お互いに無言で食べる。
ススス〜。
身体に悪いとわかっていても、スープもぜんぶ飲み干してしまう。
「ごちそうさま。」
空のカップを机に置き一息つく。
やっぱり、飲んだ日はラーメン食べないと満足できないな。
って。
満足してる場合じゃない!
最初のコメントを投稿しよう!