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「いいですね」  俺の話を聞き終えた女の返事に、俺は少し腹が立った。   「は? 今の話の何がいいんだよ」 「いいじゃないですか。今がどん底ならあとは這い上がるのみですし、そしてそれだけの時間もある」 「簡単に言うんじゃねえよ」  本当に、簡単に言いやがって。  崩すのは一瞬でも、積み上げるのには時間と体力がいる。  もう俺にはどちらも残ってねえのによ。 「でも、この世界は滅亡しませんし、きっとなんとでもなります」 「だから何なんだよ、さっきから滅亡滅亡って」  俺の言葉に、彼女は自分の腕時計を確認する。 「……そうですね。もう残り時間もありませんし、ネタばらしといきましょうか」  そう言って彼女は缶ジュースに口を付ける。 「ネタ?」 「ええ、そうです。でも信じてもらえるかはわかりません」 「あ、なんだそりゃ」  彼女の言葉の意図がわからないまま首を捻ると「ふふ」と女は笑った。 「じゃあ、私が」  彼女と目が合う。綺麗な瞳だな、と場違いなことを思った。 「私が滅亡5分前の世界からタイムトラベルしてきた、って言ったら信じてくれますか?」
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