普通であって、普通ではない

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 もともと、朝食は食べる派でない。俺がまだ小、中学生だった頃は毎日のように食べていたが、高校に上がると同時に、ギリギリまで寝たくて、朝食は要らないと言って以来、俺は朝食を食べていない。最初の頃は少し堪えるものがあったが、その日々が二年以上も続けば、人間は慣れるものだ。今ではなんとも感じなくなっていた。  ギリギリまで寝ているとはいえ、やはり眠くてところ構わず出てしまう欠伸を噛み殺しながら、俺は自分の教室の中に入って行く。 「叶汰、おはよ」 「おう、おはよ」  俺に声をかけて来たのは、高校三年間一緒のクラスとなった外崎晴人(とのさきはると)だった。入学式の日に知り合ってから、今日までずっと仲良くして来た。なんでも相談できる。俺にとって親友であるクラスメイトだ。 「今日も眠そうだな〜」 「あぁ、最近は少しいい睡眠がとれてない」 「何、誰かにフラれた?」 「正解」 「マジで……?」 「マジで」 「それは、すまん。冗談のつもりだったんだ」 「いや、お前が気にするなよ。笑ってくれたらいい」 「そんなこと言うなよ。もしよければ、俺が聞いてやるから」 「あぁ、ありがとう」  俺は晴人の隣の席に座る。時計を見ると、朝のHRまで十分ほど時間があった。これだけあれば、一通りは晴人に説明できるなと思ったので、晴人にこの間あった、俺についてのことを話す。 「この間、告白したんだよ」 「この間って、いつだよ?」 「二日前かな」 「ということは、土曜か?」 「あぁ」  そう、俺が告白したのは二日前の土曜日。春休みも終わり、学校が始まって一週間が過ぎた週末に俺は告白した。なんでそんなタイミングと聞かれると彼女と桜が綺麗だったからと言うべきか、なんと言うべきか……。  俺も正直、他にもいいタイミングがあったのではないかと、今になって色々と思って来ている。  でも、終わってしまったことを嘆いてもしょうがない。そもそも、告白したのは確かに急だったかもしれないが、彼女に対する気持ちはずっと前からあったんだ。 「それで、その子のことはいつから好きだったんだ?」  少し、微笑みながらおちょくるように聞いてくる晴人。誰でも他人の恋愛話となると不思議と面白がるものだ。晴人が相手なら別に腹は立たない。 「かれこれ、十年以上かな?」 「それはすごいな」 「というか、俺が物心ついた頃からかな?」 「それは大層な一途さんなことだ」  俺の前で晴人は拍手を送ってくる。 「それで、その子は同い年なの?」 「どうだろ。よく分かんない」 「上か下かも?」 「それなら、上だと思う。俺がまだ小さい頃の世話とかよくしてくれてたし」 「お姉さん系か。叶汰もなかなかいい趣味してるな」 「あぁ、ありがと?」  晴人はひとりでにふむふむと頷くと、さらに俺に聞いてくる。
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