兄が嫌い

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兄が嫌い

 だけどその上司以上に嫌いだったのは、兄です。  兄は高校を中退してからずっと引きこもってました。  部屋から出てくるときは、トイレかお風呂でした。  たまにふらっと外に出かけてもいましたが、基本的に部屋に引きこもっていました。  兄には昔からバカにされてました。  兄と喧嘩するたび、よくものを投げられ、怪我したこともあります。  おもちゃの電車を投げられて、出血したこともあります。  父の灰皿やマグカップ、お皿にリモコンなど、とにかく色々投げてきたから、そのたび逃げながら謝ってました。  大人になってからも。  兄は私の顔を見るたび、バカだのブスだのチビだの、罵りました。  私は面倒だから、無視してました。  両親は完全に兄の言いなりでした。  私にはガミガミ言うくせに。  ひいきです。  兄は部屋の中でご飯を食べてました。  母親が毎日ご飯を作り、兄の部屋の前に置いてからドアをノックして、 「(しゅん)くん、ご飯よ」  と言います。  兄はお礼も何にも言わず、母が去ってから部屋を開け、ご飯を取り込んで食べてました。  毎日毎日部屋の中で食っちゃ寝食っちゃ寝していた兄は、ぶくぶくに太ってました。  家に小蝿が大量発生するようになったのも、ゴキブリが発生するようになったのも、部屋を汚している兄のせいだと思います。  兄の部屋は、兄がたまに掃除はしてました。  兄の部屋に入ると怒られるから、基本的に誰も入れませんでした。  兄はたまに、私が仕事に行ってる時に私の部屋に勝手に入ってました。  漫画やCDの位置が変わっていたり、漫画が無くなっていたりするから分かります。  そしてそんなときは必ず、お金がなくなってました。  兄に問い詰めても絶対しらばっくれるから、我慢して、お金はギリギリまで銀行に預けてました。  お金を下ろすときも必要最小限にし、全財産財布に入れて、常に持ち歩くことにしました。  心配だから、預金額の分かる通帳も、仕事に行くときも持ち歩くことにしてました。
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