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冷蔵庫の音に、食器を洗っていたノゾミが振り向いた。
側のダイニングチェアに腰かけていたタカヒトも、何となく冷蔵庫に近寄る。
扉を開けると、タカヒトの目線の高さに、あと五分で賞味期限が切れるプリンがあった。
「あ、プリン」
「えっ、ウソやだ。それいつ買ったやつだっけ」
「分かんないけど、賞味期限はあと五分だね」
「リキトがスーパーで買う買う言って聞かなかったやつよ、もう寝かしつけちゃったし、あなた食べちゃって」
「そうだなあ、リキトにはまた今度買ってあげよう」
タカヒトはそう言うと、引き出しからスプーンを取りだし、プリンに突き立てた。
プリンは激怒しなかった。
ただ、あれほど冷蔵庫の皆に見栄を切った手前、少し居心地が悪いような気がした。
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