モスキート

3/6
前へ
/6ページ
次へ
 その時、ふっと思ってしまう。  この子はどうなんだろう、と。  私は、アルバイト仲間の子に「彼氏と過ごすことになったからシフトを代わってほしい」と頼まれて断れずにここにいるが、  彼女はどうなんだろう。  いけない、そんなことを考えている場合じゃない。時間は有限だ。さっさとコンビニで夜ご飯を買ってこなければ。せめてもの贅沢と見栄で買った長財布を取り出して、大きめのベンチコートを羽織る。  「あの」  休憩室の扉を開ける前に、声をかけられた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加