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そうやって必死に語る彼女は、年相応な気がした。大人に混じってアルバイトする彼女。同い年もそうそういないこの環境で、音楽という共通の趣味を見つけたかもしれない彼女。
嫌な沈黙の間が生まれてしまったかもしれない。
「うん、好き。でも最近のは聴いてないから、今度教えて」
そう言って、長財布を振って、部屋を出た。少女の顔が不安に曇るコンマ数秒前。
大人な対応だったはずだ。ロマンティシズムに塗れた、少女の想いを壊さない完璧な解答。
息を吐く。白い煙が、イルミネーションに溶けていった。
何も間違ってはいない。間違ってはいないはずだ。
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