彼女の戦い方

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 にしても、見た感じ武器は金属バットのみのようだが、読心術も使える身体能力系の能力者だろうか?  もしそうなら接近戦は避けられない。  そして不用意に近づこうものなら毒針の餌食に――ってそうだ。 「気を付けろ! 既に知らされていると思うが、この女は人間じゃない! 髪に毒を持つクラゲの怪物だ!」  忠告を耳にした少女が歩を止め、その目を俺に向ける。  それから暫く不思議そうな顔で俺を見つめた後、二度の瞬きを挟んで再びクリュサオラに視線を戻し、鼻を鳴らした。 「貴方、致命的に冗談が下手ね。こんなクラゲいる訳ないじゃない。え◯すいクラゲ検定プラヌラ級の合格実績を持つこの私でさえ見たことないわ」 「そりゃただのクラゲじゃないからな!? ってかえの〇いクラゲ検定って何!? そんなのあるの!?」 「まあいいわ。同定してみましょう。次のポリプ級の試験に出るかもしれないし」 「出ねーよ! 後普通のクラゲじゃねぇって言ってるだろ!?」  俺のツッコミを何処吹く風と聞き流し、悠々とクリュサオラを観察し始める少女。  イソギンチャクの触手のように蠢く髪の生茂る頭部から、真っ白なパンプスの爪先まで。  クリュサオラの全身隈なく熟視した末に、少女は「うん」と首を縦に振って断言してみせた。
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