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「賢いヒトね」
「ヒトじゃないって言ってるだろ!?」
「どこからどうみてもヒトじゃない。女の子に向かって『ヒトじゃない』だなんて、デリカシーのない男ね」
少女が鼻を鳴らし、やれやれと首を横に振る。
なんだろう。言ってることは正論の筈なのに、こいつに言われると無性に腹が立つ。
冷めた視線を少女に送ってやる。
対するゴスロリ少女は、さも涼しげな様子でクリュサオラへと歩を進め続けた末、毒髪の先まで後一歩というところでしっとりと足を止めると、優美な笑みを湛えて言った。
「さて、品位に欠ける貴方に教えてあげようかしら。暴力に頼らない、次世代の戦い方を」
「『次世代の戦い方』?」
「ええ。武力を以て この世には『雄弁は銀。沈黙は金』という諺があるわ。即ち『雄弁』には銀と同じ、『邪なるモノを祓う効果』があるということ……」
違う。そうじゃない。
「じゃあ『沈黙は金』の部分は?」
「蛇足よ」
蛇足じゃねぇよ! 寧ろそこが一番重要な所だよ!?
「まあ兎も角そこで観てなさい。銀の銃弾を装填した機関銃に匹敵する対魔戦最強の武器、『雄弁』の力をね」
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