左腕ライフ

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 私の持ち主のお葬式が開かれた。  お葬式には部活仲間だった人や会社の人が来ていた。  私は左腕だから彼らの顔がよく見えた。  大会に出れなかったことを私の持ち主のせいにした彼ら。  毎日のように私の持ち主をストレスのはけ口として叱り付けていた上司。  そんな人たちを見たらきっと憎いんだろうなって思ってたんだ。  でも違った。  彼らは本当に悲しんでいた。  持ち主が亡くなって感覚がクリアになったかろうか?今の私には人の本当の心がわかるんだ。嘘じゃないよ。  私の持ち主が生きていた時は、心から憎んだり、八つ当たりで怒っているように見えた彼らが心の底から悲しんでいる。  きっと彼らも自分をコントロールできなかったんだろう。  上手く感情を表せないことを彼ら自身も嘆いていたんだろう。  思っていることと体がやろうとしてることは違うこともあるんだってことは、私もよくわかってるんだ。  何たって左腕として20年も生きたからね。  でもそんな事で人1人が死に追いやられるなんて、人間って複雑な生き物だったんだね。  人間だった頃には知る由もなかったよ。
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