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恋の始まりは決まって一目惚れ。 初恋は周りと比べて遅咲きの高1。 高校入学まで別に恋と無縁だった訳ではない。 告白をされたことも一度はあるし、デートにも誘われたこともある。 男子と遊ぶほうが居心地が良くて、よく男子の中に混ざってはいたが、好きを意識されると決まって私の方から芝居が1番好きだと牽制した。 そうして恋を遠ざけたのは自分で、女子の会話でありがちなコイバナも面倒くさくて1番仲のいい男子をその都度候補にして交わしていた。そんな態度を取っていたのに、中3の時にふと恋人を興味本位で作ってみたくなって、別に好きでもない男子に恋をする少女を演じてみた。 それで告白をしてみたけれど、恋人にはなれなかった。 “片思いをする子”もその後演じてみたけれど、結局自分が参考に出来るほどの想いを経験していないし、漫画や小説から得ただけの気持ちは、相手に通じる訳がなかった。 そして中学を卒業する時に出した結論は、ただ自分には実際に恋をすることより漫画や小説で感じた気持ちを、つまり擬似恋愛を演じてみたかっただけだということだった。 恋に時間をかけるより、自分の役について考える。 そんな人生を生きていた。 だから舞台だろうが人生だろうがどんな時も主演を演じ、たまに大人の都合で外された劇でも自分なりの芝居心で楽しんだ。 サイコパスな主婦の役からなんでも出来る主人公に惚れる末端女子2まで。 私の高校入学までの恋は現実での芝居だった。
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