シーカーズ出撃

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「だから、その[口癖]やめてよねぇ……」  呆れた口調とともに頭を抱えているのは、その隣を歩くアイラ。まるで子供にも見えるポニーテールの盗賊少女は、捲し立てるように言葉を紡ぐ。 「だいたい、裏なんて取っている時間なんて無いんでしょう?」 「無理矢理[押しつけられ]ましたからねぇ……」  のんびりした口調で付け加えたのは、未開部族のような麻のポンチョに身を包んだ青年リーヴェン。頬に刺青を刻んだ顔に笑みを浮かべ、後ろを歩くハーフエルフに声を掛ける。 「〈破滅神ゲン・マー〉なんて、私は初めて聞きましたが……」 「あまり知られていないのも、無理はないわねぇ……」  いつものように上質ワイン入りの水筒を手放さない神官服の美女ハミル。金色に輝く髪の間から、妖精属との混血の証である尖った耳が赤く染まっているところから、若干酔いが回っているようだ。 「何でも、我が神の聖典には[200年ごとに目を醒まし、破壊の限りを尽くす凶星の使者]なんて書かれていたわねぇ……」
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