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日常の中に泥を引きずるような気持ちでおかーさんのことを見ていた時期もあったが、アタシはアタシで自分のことで手いっぱいで、やがて悩むことにも飽きてしまった。
3年生にもなれば受験生だ。とびきり成績が良くて先生の評価がいいのでもなければ、お尻に火が点いたような心境になって当たり前だ。親の気持ちなんて知ったことじゃない。
そんなときにクラスメイトの男の子に告白された。嬉しくないといえばうそになってしまうが、うざったいというのが正直な気持ちだった。
自分の人生を真剣に考えなければならない時期だというのに、よく恋愛なんて始める気になれるなと思う。
……なんて言いつつ、その気持ちの余裕をつくれることはちょっとうらやましかった。
高校受験のときは、ある程度先生や周りの誘導があったからあまり苦労せずに来れたが、大学受験はそうもいかない。
大学のあとのこともうっすら頭に入れて考えなければならないのだ。
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