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やりたいことも譲れないこともまだないアタシに、そんな将来設計は荷が重い。
そんなのはオマエだけの悩みじゃないぞと先生は言ってくれるが、みんな同じことに悩んでつまづいているからって、アタシの悩みがなくなるわけではないのだ。いいかげんな励ましにはウンザリだった。
だから、つき合ってみる気になったのだ。その男の子と。
べつに好きとか気に入っているとか、そういう理由ではなかった。
受験のことで悩んで疲れているなんて周りに思われたくなかった。むしろ、「あいつこの時期に彼氏つくるとか正気か」と言われたかった。
他人と違うということは、いつでもアタシたちの危機的状況で、そして自己肯定感でもあるのだ。
相手には合格までエッチはお預けね、と言っておけば高校生らしい適度なつき合いでやっていけるだろう。
好きでもない男の子とつき合うことに罪悪感はあまりなかったが、好きでもない男の子に抱かせるほど、ほんとうは崖っぷちでもなかった。
ただ、アタシは自分の都合だけで他人をすごくバカにしているなあと思った。
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