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サンタさんのことがばれた大人のような心境になる。いたいけな妹を傷つけないように、言葉を選んで話した。
……となると、ないんじゃね、とか思ってるアタシのところにはないんだろうか。運命って。
信じてすがっているわけでもないのに、そう思うとなんだか寂しい気がしてきてしまう。
人間とは、なんと勝手な生き物なのだろうか。
智といっしょに駐車場のヒミツを覗いてしまったあの夜から、アタシはただのバカな女子高生ではなく、ドライな女子高生になってしまった気がする。
あの光景を思い出しても、もう眩暈はしてこない。
「あるって思っていると、ある……のかあ……」
「アタシはね、そう思うけど。自分で感じたことないから、感じてみるまではわかんないな」
少なくとも、いまつき合っている相手がそうでないことはわかる。
「じゃあ、あるって思ってみる。見つけたらわかるかなあ」
やたらキラキラした乙音の瞳がほんとうにきれいで、思わず笑みが漏れた。
「あんたのところにないなら、世界のどこにもそんなものないんじゃない?」
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